分析8(成功要因:KFS 分析)

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1. KFS(成功要因)分析概要
KFS:KeyFactor for SuccessまたはKSF:Key Success Factorは日本語ではいずれも成功要因とい
うが、その事業、業種における成功の鍵となる事業要素のことである。
成功要因が十分に理解把握されていれば、戦略立案の発想だけでなく、様々な経営判断に大いに役立つ。
しかし、その事業に従事している者であっても成功要因を明確に把握していないことも少なくない。

2. 分析の進め方
この分析は「成功要因候補の抽出」と「成功要因の決定」の2つの段階(部分)からなる。
第一段階にあたる成功要因候補の抽出には上位企業に共通する要因を見いだす「共通(点)法」と上位、
下位企業で相違する要因を見いだす「比較法」の2つの方法がある。時には片方だけで済むこともある
が、両方を併用するのが良い。

3. 成功要因候補の抽出
共通点法、比較法のいずれもその業種に属する企業を縦軸に、横軸に成功要因候補となる各種事業要素を
とったマトリックス図表70を作成し、各セルに該当する内容たとえば、営業マンの数ならば人数、納期
ならば日数など、を書き込む。
縦軸の企業は上からシェアの順に並べた方が後々も分かりやすい。

 


横軸を構成する事業要素は多々あるため一般的なものを示した図表71の内容を参考に、そこから該当す
る事業要素を選び出すなど、これを抽出作業の起点にするとよい。ただし、成功要因は事業や事業環境に
より多種多様であるから図表71に挙げた候補はあくまでも参考にすぎない。
 




このマトリックスからは上位企業に共通する事業要素(共通法)や上位企業にあって下位企業にないもの
や両者間の差が大きい事業要素(比較法)を見つけ出して成功要因の候補とする。
この際、もとのマトリックスのセルには文字や数字が書き込まれていることが多いが、これではわかりに
くいため、記号化して再表示することが奨められる。
研究開発費売上げ比率を例にとれば、10%以上を○ 5〜9%を△ 4%以下を× などで置き換える
ことである。(大まかな範囲などが分かっていれば、当初から記号化して記入しても良い。)
この様にして抽出された成功要因候補を5つほどに絞り込む。
この候補の数に制約はないが、これより少ない場合は、その時点ですでにKFSを断定していることとなる
し、多すぎれば次の段階である「成功要因の決定」の作業が難しくなるため5つ程度をめどとする。
共通法を採用する場合、取り上げる企業は上位の数社で十分であるため、データの収集も楽であるし、手
間も比較法にくらべれば格段にすくなくなる。しかし、下位企業が入っていないことで、企業間の評価差
が小さくなりやすくその中からの候補特定が難しくなる。従って、できるだけ多くの企業を対象とし、共
通点法と比較法の両方の視点で候補を抽出するのが良い。
この抽出操作も各部門の意見、考えを集約して行うのが良い。

4. 成功要因の決定(BOC法※)
※ここで成功要因の決定法として紹介するBOC(Bases of Competition)法はアーサー・D・リトル社の開発
になるものである
成功要因の決定には、第一段階で抽出された成功要因候補を縦軸に、競合の各社名を横軸にしたBOC評
価表を用いる。
この評価表には、評価評点の合計行と各社のシェアを記入する行があり、さらに各成功要因候補の横に
は、その重みを示す列が付加されている。図表72
分析はこの表を埋める形で進める。





まず、成功要因候補に関して各社がどの程度のレベルであるか、またはどの程度充足させているかを5点
法を用いて評価する。(抽出段階での定量的把握や相対的判断が正確に行われていれば、それを引き写す
だけでも良い)
最も良い企業を5点とし、最も悪い企業を1点とする相対評価を原則とする。
ただし、最良企業と比較してそれほどの差がないと判断される場合は最下位企業の評点も無理に1点にす
る必要はなく、その程度に応じた評点であって良い。(ただし、全企業間の差がわずかしか無い場合は、
第一段階における抽出に問題がある可能性が高いため、第一段階の内容をあらためて見直し、必要に応じ
て、その要因を除外したり、抽出をやり直すことも考えなくてはならない)
このようにして各セルの評点が決まれば、次にそれぞれの成功要因候補を比較し、相対的重みを記入す
る。
この重みの値に上限は無いが、上位企業と下位企業に致命的な違いが存在すること自体が不自然であるか
ら、余り大きくすることは適当でない。
この重みをそれぞれの評点に乗じた値を企業毎に集計し、その企業の評価点を算出する。この評価点の合
計で各社評価点を除した値が評価点をシェアに換算した数値となる。
これで評価表のセルはすべて数値で埋まる。 
 
次に、縦軸に評価点を、横軸に実際のシェア(縦横逆でも可)をとったグラフを作成し、この評価点と実
績シェアの間の関係を調べる。
このプロットが直線上に並べば、重みが適切であった証※となる。図表73
 


※ほぼ直線上に並ぶからといって、他の重み付けの組み合わせの可能性が無いわけでもないため、必ずしも正し
いとは言えないし直線を形成するプロットのばらつきも問題になるが、
一つの近似解ではあるし、目的から考えれば、抽出の経緯も含めて大きな間違いを犯す危険もそれほど大きくは
ない

もし、うまく直線上に並ばない場合は重みを変えて、再度、直線性を検討する。
いちいち計算するとすれば大変であるが、表計算ソフトを使用すれば、重みや各セルの評点の修正に対応
してグラフが自動修正されるから、それほどの手間にはならない。
このようにして探し出された適切な重みが成功要因を示す指標となる。
図表72の例で言えば、最も重要な成功要因は重みが4の「価格」であり、次いで重み2の「××技術」
「試作要員数」、重み1の「ユーザー対応(の優秀さ)」「短納期」の順ということになる。
この場合、重みの小さい「短納期」「試作開発要員数」に関しては成功要因とすべきかどうかは疑問があ
るが、第一段階で抽出されたことを考えると少なくとも準成功要因と認識するのが妥当である。

※ここ20年ほどで統計学が発達し、この直線相関の重みを統計学的に決定することも容易になっているが、
BOC法が開発された当時の環境を考慮し、当初のまま紹介した。勿論、結果は大きく変わらないことが検証さ
れている。
 



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